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労働契約の不利益変更

労働条件の不利益変更は、労働者の同意なしにはできません。不合理な変更の場合は撤回を求めるべきです。

東京都内の、労働条件の不利益変更の高額回収事例が掲載されている弁護士事務所

※2021年1月に東京都内の弁護士事務所の公式サイトと「弁護士ドットコム(https://www.bengo4.com/tokyo/f_5/)を調査し、労働条件の不利益変更に関わる解決事例のうち回収金額まで記載のある事務所とその事例を、より多く回収した順に選出しました。

アディーレ法律事務所

トラックドライバーの
長時間勤務を証明して残業代回収
金額:1,100万円以上
事例の詳細

人材派遣会社に20年以上勤務している40代の女性は、産休取得前に「産休・育休取得後は降格・減給する決まり」と告げられ、実際に復職後に7万円以上も減給されたことに疑問を抱いていたことから、弁護士に相談しました。弁護士は産休取得前の給与に戻し、降格期間分の差額を支払うよう会社に請求。交渉の結果、会社は主張を全面的に認め、解決金1,100万円を支払いました。女性は休職前の役職と給与で勤務することになりました。

アディーレ法律事務所の
労働問題に対するポリシー

在籍する170人超の弁護士が、労働問題だけでなく、債務整理や交通事故、離婚などに幅広く対応します。本店は東京・池袋のサンシャイン60に置き、全国60カ所以上に拠点を展開。弁護士が身近な存在となるよう努めています。

※人数・拠点数ともに2021年1月調査時点の数値

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どんな場合が不利益変更に当たる?

不利益変更に当たる場合

企業が事業を継続するために就業規則を改めたり、労働条件を変更したりするのがやむを得ない場合があります。労働契約法は、使用者は労働者との同意がなければ「不利益に労働契約の内容である労働条件を変更すること」はできないと規定しています。この不利益変更は、賃金や退職金の減額に限られません。ほかに不利益となり得るのは、次のようなケースです。

不利益変更に当たらない場合

人事評価によって役職が外された結果、手当がカットされた場合は不利益変更とはなりません。また判例は、定年延長の結果、55歳以降の賃金水準が下げられても、労働組合との合意があれば不合理とは言えないとしています。

参照元:独立行政法人労働政策研究・研修機構/(74)【労働条件の変更】 就業規則による労働条件の変更(https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/08/74.html)

不利益変更で戦うために必要なこと

変更された契約内容・就業規則を確認

労働契約法は、労働者との合意がないまま労働条件を変更することを原則禁止しています。もし会社から労働条件の変更を提示されたら、その場で同意や確認書などへの押印はせず、変更後の労働条件が切り下げられていないかを見極める必要があります。賃金や退職金など金銭面での変更に限らず、労働時間の長さや福利厚生の内容でも不利益変更になり得ます。休日が増える場合でも、その結果、勤務日が減って給料が削減されていないか注意が必要です。

自由意志での同意ではなかったか確認

労働条件変更の前提となる労働者の同意は、自由な意思に基づいていなければなりません。解雇をちらつかされたり、脅されたりして、心理的に圧迫された状態での同意は、サインや押印があっても無効となる可能性があります。

今後どうしたいか弁護士と相談

労働条件変更を取り消してほしいのか、あるいは退職して金銭的解決を目指すのか、弁護士とよく相談します。解決金を得られても、場合によっては弁護士費用や裁判費用が上回る可能性があり、冷静に判断が必要です。

不利益変更する経営者側の事情

企業の経営状況が悪化すると、賃金の削減などをしなければならないことがあります。また、企業合併後、労働条件統一のため一部の従業員に不利益となる変更がされる場合も。いずれにしても、従業員や労働組合の同意は原則必要です。

弁護士事務所の対応の流れ

弁護士に相談

労働条件の不利益変更ではないのかと疑問や不安を感じることがあれば、早めに弁護士に相談します。不利益変更は例外的に認められるケースがあります。実際に提示された条件が有効かどうかの判断には、過去の裁判例など専門的な知識が必要です。

会社に内容証明を送付

労働条件の変更が違法、無効だと指摘するため、会社に内容証明郵便で通知書を送付します。違法、無効な変更であることが明らかであれば、この段階で会社側が変更を撤回する可能性はありますが、撤回しなければ次のステップに進みます。

会社側と交渉・労働審判

労働条件の不利益変更の撤回を求め、会社側と直接、話し合います。それでも会社側が撤回しない場合は、労働審判の申し立てを検討します。賃金が削減された場合、審判では、変更撤回とともに、従前の条件による賃金との差額の支払を請求します。労働審判は3回までの期日で終結すると決められており、早期の決着も期待できます。

訴訟

話し合いや労働審判でも、会社が労働条件の不利益変更を撤回しないときは、最終的な決着のために残された手段は訴訟です。

最初に、会社に要求する内容や要求する理由、それまでの経緯を書面としてまとめた訴状を裁判所に提出します。収集した証拠類も併せて提出します。弁護士に依頼していると、訴状のとりまとめを任せられると共に、効果的に証拠を集めるための助言も受けられます。

訴状は裁判所が受理した後に会社に送付されます。会社は反論を答弁書として提出します。 その後は、口頭弁論と呼ばれる手続きを、おおむね月1回繰り返し、互いの主張をぶつけ合いながら、争点を詰めていきます。主張は準備書面と呼ばれる書面としてまとめておくのがルールです。

最終段階では双方が提出した証拠を調べ、証人尋問も実施されます。多くはこの段階で、裁判所は和解に向けた話し合いを勧めてきます。和解が成立すれば訴訟は終結しますが、折り合いがつかなければ判決となります。

判決に不服があれば、控訴して第二審での審理が続きます。控訴審判決でも納得できなければ、最高裁に上告します。訴訟では、決着まで一定の時間が必要となり、一審判決まででも通常、1年以上かかります。

過去の不利益変更 解決事例

退職金を減額する変更も「合理性あり」

相談内容

七つの農協が合併した後、労働条件を統一するために新たに作成された就業規則で定められた退職給与規程が、合併前の農協の規程よりも不利益な内容になっていたことから、合併前から勤務していた従業員が、従前の退職金との差額の支払を求め提訴しました。

弁護士の対応~解決

最高裁は、新しい就業規則の退職金規程には合理性があるとして、従業員の請求を退けました。退職金は減額されるものの、一方で給与が相続されて定年も延長されているため、従業員が受け取る給与と退職金の累計はほぼ同額になること、また合併により休日や手当などの面では従業員に有利になるほか、合併後に統一した就業規則を作る必要性も高いことなどが、従業員敗訴の理由となりました。

定年延長による賃金削減は合理的

相談内容

銀行と労働組合の間で労働協約が締結され、定年を55歳から60歳に延長する代わりに、55歳以降の年間賃金を54歳時の6割台に減額する就業規則の変更がされました。この変更は無効だとして、60歳で定年退職した非組合員の従業員が、賃金の差額分の支払を求めて提訴しました。

【弁護士の対応~解決】

最高裁は、就業規則の変更は有効と判断、従業員の請求を退けました。当時においては定年延長の必要性は高く、これに併せて55歳以降の賃金水準を見直す必要性も高かったと認定。変更後の賃金水準は、同業他社や社会一般と比較してもかなり高く、福利厚生の適用延長・拡充などで不利益は緩和されているとしました。さらに従業員の約90%で組織する労働組合と交渉、合意していることも理由としました。

特定層の従業員に不利益を負わせるのは不相当

相談内容

銀行が賃金制度を見直す就業規則の変更を2度にわたり実施し、55歳に達した管理職は、新設の専任職となって賃金が減額されることになりました。銀行は従業員の73%が加入する多数組合の同意は得ましたが、少数組合の同意を得ないまま実施しており、同意していない従業員が専任職の辞令無効確認などを求め提訴しました。

【弁護士の対応~解決】

最高裁は、賃金減額の就業規則変更は無効と判断しました。この賃金減額は特定の層の行員のみに賃金コスト抑制の負担を負わせていて、負担の程度も大幅な不利益を生じさせると認定。労働条件の改善といった利益もなく、不利益緩和の経過措置もないまま従業員に大きな負担のみを負わせるのは相当ではないとの結論になりました。

労働条件統一目的なら不利益変更は「合理的」

相談内容

A社の鉄道保険部の業務を従業員ごと引き継いだY社は、労働条件を統一するため、定年を57歳とし、退職金を削減する内容の労働協約を労働組合と締結しました。しかし、A社出身者は63歳だった定年が引き下げられたことから、A社出身の従業員が、新たな定年と退職金の規程は無効だとして提訴しました。

【弁護士の対応~解決】

最高裁は、従業員の請求を退けました。定年と退職金の不利益変更により、A社の従業員が受ける不利益は決して小さいものではないが、協約の締結に至った経緯や当時のY社の経営状態、新たに定められた基準が全体としては合理性があることなどを考えれば、協約は労働組合の目的を逸脱して締結されたものとはいえず、効力を否定すべき理由はないと判断しました。

不利益の内容は具体的に説明した上で同意を

相談内容

経営危機を他の信用組合との吸収合併によって存続できた信用組合が、条件として退職金の引き下げを要求され、管理職は退職金が2分の1以下にする変更への同意書にやむなく署名押印しました。しかし、署名押印した管理職12人が、同意は無効だとして差額の支払を求め提訴しました。

【弁護士の対応~解決】

最高裁は、請求を棄却した一、二審の判決を破棄して差し戻しました。管理職が同意のために充分な情報を与えられていたというためには、自己都合退職だと退職金が0円となる可能性が高いことも含め、具体的な不利益の内容や程度についても情報提供や説明があるべきだだったと判示し、一、二審判決はそうした点をしっかり検討していないと結論付けました。